ほいろ節

   朝の早よから助炭にもたれ
         よれよれよと手をあわす
   朝のかかりには焙炉衆が先よ
         宵のしまいは  わしが先
   お茶は揉め揉まねばならぬ
         揉まにゃお茶には  なりはせぬ
   誰もどなたさんもうたいをうたいなされ
         うとうて一息  しよやないか
  
 焙炉小屋には、色とりどりの幟がはためく。巾一間、奥行三尺という助炭の
火には、ふっくらとした藁灰の中に、白の樫炭が燃えています。上半身はだか
のほいろ師は、玉の汗を流して約八百匁の生葉をもみます。露切りから板ずり
をして仕上げる迄四時間はかかるといいます。
 ほいろ師は先の茶摘み歌と同じ歌詞でうたわれるものもありますが、ふしま
わしはこの方が陽気で活動的であるように思われます。

昔の手揉み製法につきましては、「手もみ研修会」のページに説明しておりま
すので、ご覧ください。

   揉んでのばして色肌つけて
         そして貫やりゃお茶師さん
   揉んで茶師ならあんまも茶師や
         同じ茶師なら  あんまする
   なんぼ揉んでもこの茶はよらん
         どこの畑の  やせ芽やら
   お茶師の番頭さん目くらならよかろ
         お茶の吟味もあらしよまい
   揉めよ揉めよともましておいて
         あとで二番師が楽をする
   お茶をひるなら足腰きめて
         向い良い葉のとばぬように


 「貫やりゃお茶師さん」というのは、ようけい仕上げたら焙炉師一人前というこ
と。「二番師」というのは仕上げをする人で、ベテランがやります。先に揉むのは
、「しなもみ」といって若い力のある人がやります。「ひる」とは箕で茶の葉をふる
って、屑や粉を除く作業をいいます。

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